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通信

from France

夏の休暇
VACANCE D'ETE(ヴァカンス デテ)
2005.9.16

 生きる悦び。ボードレールが謳い、マチスが描いた“豪奢、静けさそして逸楽”は本当にフランス人のヴァカンス観そのもの。労働が美徳の日本人の爪の垢でも飲ませたいくらいに社会の機能が半ば停止するのもお構いなしで、ほとんどの人が、夏には3〜5週間の有給休暇を取って、家族、恋人、友人達と過ごすのです。
 パリは閑散とし、ブティックやレストランも閉店するけれど、リゾート地は商売繁盛で、皆が遊んでいる夏だけ働いて、その収入で1年をゆったり過ごす人達もいるくらい。春に女性雑誌がこぞって痩身記事と水着の特集を組むのもヴァカンスのため。若い女性だけでなく中年マダムも肌もあらわに、太陽光線の下で堂々と日焼けにいそしむ。
 美白がモットーの日本女性には信じ難いお肌の危険も顧みず!冬のスキーや夏の海水浴で日焼けした小麦色の肌は相も変わらずフランス女性の憧れの的であり、優雅なヴァカンスを過ごしてきたというステイタスシンボル。そしてヨーロッパの薄曇の長い冬のために色白の子供たちにも、太陽の日差しや海のヨードを浴びて、風邪にかからないよう健康保持を!と促すのです。
 フランスの海や山の別荘やキャンプ地での休暇を過ごす人々が大半ながら、ヴァカンスくらいは家事や親戚から解放されたい人々は、国内外のリゾートホテルへ。日本人が、ハワイや東南アジアを目指すように。

▲紺碧の海と空、絵に描いたような海とプールのリゾートホテル
 地中海クラブのコンセプトの成功から、各旅行社のヴァカンス村は、1週間を滞在単位(2週間の滞在が大半)に、ヨーロッパ諸国のリゾート地はもちろん、タヒチ、カリブの島々、北アフリカなどフランス語圏のあちこちに存在する。
 そして最近は物価が安く、観光未開拓の東欧諸国も人気沸騰中である。マリンスポーツなど気軽にトライでき、子供や青少年のために色々なクラブ活動もあり、大人も子供もそれぞれに自由。その上、友達もすぐにできるよう工夫されている。毎晩、演劇、コンサート、ダンスのプログラムが組まれ、食事はビュッフェスタイルで毎日メニューも変わり、1〜2週間滞在しても飽きることはない。

▲ボドロムは、紀元前3千年前に建立されたギリシャ人の町
 私たち家族は、この夏は2週間をエーゲ海に臨むトルコ南西のリゾートへ。トルコのサントロぺ(南仏のお洒落なリゾート)といわれるボドロムは、夏はトルコ語に英語やフランス語が飛び交う国際的な街で、夜中までレストラン、ブティック、ディスコで賑わっている。
 私たちが滞在したホテルは、そこから10キロの閑静な海辺にあり、フランス人客が95%を占めるので、食べ物や言葉の問題もない。仲良くなった家族とは、一緒に地元のお酒や様々なトルコ料理を味わったり、ダーツやテニス、マリンスポーツにトライしたり、小型の船を借り切って紺碧のエーゲ海をクルージングしたり、ギリシャの遺跡を訪れたりと、まるで昔からの友達気分。仕事や日常のしがらみから離れて、自由気ままにおしゃべりして楽しく過ごす。

 大人も子供も、一日中水着姿でプールや海で泳いだり、砂浜で読書やお城を作ったり。
 夏の観光収入を糧としている地元のトルコ人たちは、陽気で親切。ショッピングするにも商品の価格が表示されていないので、すべて交渉しだい。数年前の大地震やイスラムのテロの打撃も嘘のように白い建築郡がまぶしい。ヨーロッパとアジアの狭間で生きてきた人々は、容貌もアジア人に近く、日本人顔のわが娘は親近感からか美少女のフランス人より可愛がられたり。
 子供たちは、大人のアペタイザーやダンスタイムにも参加して、夏休みだけは早寝を強いられることなく大人の世界を垣間見る。娘もバーマンのトルコ人とお喋りしたり、ディスコでジルバやスローを見よう見まねで踊ったり。
 共働きが多いフランスのカップルにとって、ひとりの男や女として魅力的であること、そして夫婦の絆を再確認する大事なひと時でもある。
(左上)子供たちもヨットのマストでくつろいで/(左)子供たちが、練習したスペクタクルを皆に披露
 私も、40度の炎天下、日焼けを気にしつつも自由気ままに海やブールに飛び込み、旺盛な食欲をセーブすることなく、椰子の木の下でロリエローズやブーゲンビリアの香りと爽やかな海の風に吹かれながら、普段構ってやれない子供の宿題を見たり、読みきれない本を読んだり、主人と将来の構想を話したり…。
 ゆったりと自然のリズムに身を任せ、人間の原点に戻った気分で、走りっぱなしの人生の針を少し緩めてみるのです。
▲日も暮れてテラスで夕食 子供たちもアペタイザーにカクテルをバーマンに注文 ▲エフェソスは、聖母マリアが亡くなった聖地であり、世界7不思議の古代遺跡


ライタープロフィール:DUMOLARD 友宇子(デュモラール ユウコ)
関西学院大学美学科を専攻し、パリの“エコールドルーブル”にて美術史を学ぶ。広告、絵画関係の仕事を経て、1991年渡仏。1992年よりモージュの高級食器ブランド“アビランド”社専属にてパリを拠点にテーブルコーディネートを中心とするディスプレイ、商品企画、営業販促に関わる仕事を展開。フランススタイルのテーブルやライフスタイルの提案をしながらフランスのホテル、レストランや日本のブライダルのテーブルトップのコーディネーションなども手がける。メゾン・エ・オブジェにも毎回参加。

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