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通信

from France

新学年(ロントレ)とメゾン・エ・オブジェ 2005.11.10

 欧米では、新学年期は夏休み明けの9月なので(日本は桜の美しい4月だけれど)、すっかりくつろいだ身体と頭脳を急にフル回転させなければならない。
 入学式も新入式もなく、初日から平常通りの授業が始まるのだから親も子も気が抜けない。それに加えて、仕事もビジネスも再開とあって、色々な分野のトレードショーがあちこちで開催される。まるで、眠れる森の美女が急に目覚めたように!
 今年は、インテリアとテーブルウェアの国際トレードショーとして名高いパリの“メゾン・エ・オブジェ”が、新学年開始の9月2日開幕ということで、子供を持ち、この業界で仕事する女性たちにとっては、気の重い年度始めであった。
 子供のことも気になるし、年に2回の大きな仕事の山場をおろそかにするわけにはいかないといったところ。
 この“メゾン・エ・オブジェ”は、毎年1月末と9月初めにパリで開催され、フランクフルトのアンビアンテ、ミラノのサローネと並ぶ、家(メゾン)をテーマにしたプロを対象にした展示会。最先端のトレンドが発表されるというので、フランス国内はもちろん、世界中からの来場者がある。
▲2日がかりで設営したメゾン・エ・オブジェのアビランドのブース(中央のテーブルが、新作ラック・ド・シーヌ)

▲今年の流行色はモーヴ色。フランスらしい可憐な新作"オリビア″。
 この秋は、禅スタイルや白やシルバーの研ぎ澄まされた流行は影をひそめ、鮮やかな色彩が戻ってきた昨年のトレンドは継続し、ブラック&ゴールド(黒と金)の流行や日本人にはグロテスクとも感じられるような動物や鳥類、爬虫類の剥製をインテリアに取り入れたのが目を惹いた。
 しかし、コレといった新しさは見られず、伝統回帰の雰囲気が漂っていたようである。ひとつの流行とかトレンドを追う時代は終わり、多種多様なスタイルの中から、自分のライフスタイルにあったものを選択。
 そういう意味では各メーカーも流行を生むことよりも、独自性ともの作りに対する姿勢をあるがままに発表しているようで、ある種の余裕みたいなものが感じられたような気がした。結果的には、例年以上に海外からのクライアントに盛況な展示会であった。
 私が関わるアビランド社の新作は、ラック・ド・シーヌ(中国漆)という光沢のある漆の質感を10色ヴァリエーションで再現した手彩の食器が好評。黒や溜の伝統色に、トルコブルー、オレンジ、モーヴ、アニスといった流行色を取り入れたところがネックだったようだ。
 私たち日本人は、日本の漆が最高級と認識していても、残念ながら、西洋人は歴史的観点から“中国”というネーミングにエキゾチズムをそそられるらしい。
 流行の黒は、黒豹のトレイとともに“食器のオートクチュール”とジャーナリスにも人気。ファッション感覚を食卓!にというコンセプトはとてもフランス的である。
 インテリアや食器は、フランス人にとっての自己表現。スローカフェというスローフードを意識したカフェのシックな色調、面白いシェイプのシャンデリア、豪華なリビング風景や心休まる田舎風のキッチンなどのお洒落なブースの数々を、早朝仕事前にひとりで駆け回って見るのもちょっとした心と目の栄養になる。

▲黒の流行の火付け役は、バカラのクリスタル
 私が仕事に忙殺されている間に、長男は初めての大學生活で連日9時間の授業を受講し、長女は放課後コンセルバトワールでピアノ、ダンス、コーラスを始めて大満足。親はなくても子は育ち、案ずるより生むが易しということでしょう。
▲テーブルウエアの黒の流行は、食器やテキスタイルにまで フラワーは相変わらず、欄やカラーの白が人気 ▲クリスタルののシャンデリアは、ユニークなシェイプでアート感覚

▲フランスのビストロスタイルは、ホワイトの定番ながらいつも新鮮

▲"スローカフェ"は、現代の食のコンセプトをシャープな色合いとインテリアで表現


ライタープロフィール:DUMOLARD 友宇子(デュモラール ユウコ)
関西学院大学美学科を専攻し、パリの“エコールドルーブル”にて美術史を学ぶ。広告、絵画関係の仕事を経て、1991年渡仏。1992年よりモージュの高級食器ブランド“アビランド”社専属にてパリを拠点にテーブルコーディネートを中心とするディスプレイ、商品企画、営業販促に関わる仕事を展開。フランススタイルのテーブルやライフスタイルの提案をしながらフランスのホテル、レストランや日本のブライダルのテーブルトップのコーディネーションなども手がける。メゾン・エ・オブジェにも毎回参加。

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